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大國魂神社

OOKUNITAMA JINJA

東京都府中市宮町3丁目1

テノール|大西貴浩 ジャーナール 神社を巡る大國魂神社

忘れもしない2014年9月16日。大國魂神社の本殿脇には摂社の辰巳神社がある。小さな社だが、巳年の早生まれなのでなんとなく名前に親近感がわいた。賽銭を入れ、目を閉じて拝んでいると、ガタガタガタと社が音を立てはじめた。一瞬、身じろぎしたものの、これは神様が降りて来られたに違いないと、恐る恐る目を開けた。すると、やはり社はガタガタガタと音を立てて揺れている。とうとう神様がぼくの前に姿を現せてくれるのだ!どんな姿でおいでになるのだろうか!興奮と期待と、少なからず恐怖感もあったのだとは思う。辺りを見回した。すると、本殿が軋んでいるではないか。よくよく落ち着いてみると、地面も揺れている。なんてことはない、地震が起こったのだった。ずいぶん大きな揺れだったのだと思う。地震に対する恐怖感はまったくなく、神様が降りてこられたのではないとわかった残念感だけが残った。しばらく軋む本殿を眺めていたら、揺れはおさまった。

大國魂神社ほど居心地の良い場所はない。いつ足を踏み入れても清々しい気が流れている。多いときは月に何日も電車を乗り継いで通いたくなる。京王線府中駅に降りたときから、大國魂大神の懐に抱かれている、府中という土地はそんな心地よさを感じる。駅前の神社に続く大きなケヤキ並木は昔の参道であったという。なるほど、このケヤキ並木を歩くときに厳かな心持ちになるのはそのせいかと納得する。どうしてここはこんなにも居心地がいいのだろうか。大きななにかに包まれる安心感。これが何だか気づいたとき、わたしは大國魂大神の懐の深さに改めて畏れ入った。

あるとき、本殿の千木(屋根の両端で交叉させた部材)を眺めていて疑問が湧いた。普通、男神が祀られている場合は先端が空に向かっている。大國魂大神は男神ゆえ、本来ならば千木の先端は空に向かっているはずである。ところが、本殿の千木の先端は女神を表すように空と水平になっていた。通い始めて1年間全く気づかなかった。不思議に思い、境内を歩いていた神職さんに質問をぶつけた。

「大國魂大神が主祭神であることは間違いないのですが、大国主大神が天照大神に国譲りをされたことに対する敬意を表して千木はああなっているのです」

という思ってもみない答えが返ってきた。天照大神は言うまでもなく女神である。こんな神社は他にはあるまい。そして、この懐の深さこそが、大國魂神社をこのように居心地のいい場所にしているのだと確信した。どんな思いを抱えてきても、帰るときにはリセットしてくれるこの不思議な地の力。それは、目には見えずとも、全てを受け入れておられる大國魂大神の息吹が流れているからであろう。

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